第513章

 彼は悠然と手首をひとつ回し、低く艶のある声で言った。

「だが、そうしてしまったら――本来の極限の切れ味も、役目も失う。こいつにできることは、まだいくらでもある」

 目の前でしきりに“形”をつけるその手を見ているうちに、小林絵里の胸のざわつきは、少しずつ静まっていった。

 そうだ。

 坂田和也が自分の目の前でやたらと手を見せつけるのは、見栄えをつけているだけ――絵里にはそうとしか思えなかった。

 複雑な目で彼を見つめながらも、彼がいったい何をしたいのか、いまひとつ掴めない。

 坂田和也は淡々と彼女を見て、尋ねる。

「試してみるか。こいつが、何をできるのか」

 小林絵里は瞬時に...

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