第520章

 彼女は身を起こした。だが全身のあちこちから鈍い痛みが走り、次の瞬間、体はふらりと崩れてベッドへ逆戻りする。

 顔から、さっと血の気が引いた。

 ――最低。

 坂田和也がしたことを思い出した途端、小林絵里の瞳にまた水の膜が張る。それでも歯を食いしばり、涙だけはこぼさない。

 泣いてどうする。

 自業自得だ。

 あんな要求、飲むべきじゃなかった。

 芝居なんて、何になる。

 いっそ――死ねば、全部終わるのに。

 小林絵里は布団を手繰り寄せ、頭までかぶって、荒れた呼吸を必死に整えた。

 どれほど時間が経ったのか。ようやく心が落ち着き、彼女はふらつく脚を引きずるようにして洗面所...

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