第527章

小林絵里はぽかんとした。そんなこと、今まで本気で考えたことがなかったのだ。

相手が、ずっと手を出してこなかったら?

ただ薄暗い場所から、こちらを覗き続けているだけだとしたら?

高川寒彦は小さく笑って言った。

「だからその計画自体、成り立ってない。お前と坂田和也の仲が良ければ良いほど守りも厚くなる。相手が手を出すのは、まず無理だ」

小林絵里は唇をきゅっと結ぶ。――じゃあ、坂田和也は彼女を騙していたの?

また、騙したの?

高川寒彦は続けた。

「そんなやり方で炙り出すより、しばらく様子見でいい。あいつが気に食わないのは、お前らの仲の良さなのか。それとも、狙いはお前自身なのか……そこ...

ログインして続きを読む