第534章

「小林さん、はじめまして。坂東十樹と申します」

「坂東十流だ」

 二人の名乗りが終わった途端、空気が妙にしんとした。

 小林絵里は目をぱちぱちさせる。「……それだけ?」

 坂東十樹と坂東十流がちらりと目を合わせる。坂東十樹が乾いた声で言った。

「……それだけです」

 小林絵里は思わずくすっと笑い、すぐに切り替える。

「じゃあ、得意なことは? お給料の希望も聞かせてください」

 また二人が目を合わせ、それから揃って高川寒彦を見る。

 高川寒彦はこめかみを押さえ、ため息混じりに言った。

「とりあえず座れ」

 坂東十樹と坂東十流は席についた。

 高川寒彦が二人の事情を手短に...

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