第542章

小林絵里はわずかに表情を固くし、スマホを握る指に力がこもった。掠れ気味の声で言う。

「わたし、彼がわたしを愛してるって……一度も言われたこと、ない気がする」

夏目思乃が小さく息を吐く。

「小林さん……私たちの負けね」

小林絵里は目を閉じ、静かに言った。

「ごめんなさい、夏目嬢。巻き込んでしまって……もし損をさせたなら、遠慮なく言って」

夏目思乃は苦笑して首を振る。

「いいえ。損なんて何もないわ。あなたと組むって決めたのは、私自身だもの。結果がどうなっても、受け止めるのは当然よ」

小林絵里はそれ以上、言葉を継げなかった。誰も、こんな方向へ転ぶなんて思っていなかったからだ。

ま...

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