第549章

小林絵里は小さなクッキーを袋に詰め、口をきゅっと閉じながら言った。

「時間がないから、日持ちして味もそこそこなものだけ作ったの。道中で食べて」

松本桜はぱちぱちと瞬きをして、すぐさま駆け寄ると彼女にぎゅっと抱きついた。

「絵里、なんでそんなに優しいの……! いっそ二人で一緒に逃げようよ!」

小林絵里はふっと笑う。

「ほら、早く顔を洗って。郊外まで送るから」

明朝の長距離バスに乗るなら、今夜のうちに現地で待機しておく必要がある。

けれど松本桜は首を振った。

「大丈夫。もう人に連絡してあるし、絵里は家でちゃんと休んで。わたし、平気だから」

小林絵りは譲らない。

「だめ。わたし...

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