第552章

「あなた……!」

 小林絵里の顔色が、みるみる険しくなる。

 古川修一の態度は、松本桜をただの玩具みたいに扱っているとしか思えなかった。

 だったら――今日だけは、何があっても古川修一に松本桜を連れていかせない。

「ならいいわ。放しなさい。あなたに彼女を連れていく権利も、自由を奪う権利もない」絵里は冷ややかに言い放った。

 古川修一が眉を跳ね上げる。「小林絵里。和也の顔を立てて穏便に話してやってるのに、お前、勘違いしてないか?」

 絵里の表情は変わらない。氷みたいに冷たいまま。「顔なんて立てなくていい。わたしは何も持ってないし。……それでも、あなたが無理やり連れていくって言うなら...

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