第561章

小林絵里は冷えた瞳で彼を見据えた。

「――少なくとも、あなたがわたしに近づく目的よりはずっとマシよ」

「お前は勘違いしてる」

坂田和也は可笑しそうに肩をすくめる。

「俺が近づくのは、単純にお前を自分のものにしたいだけだ。だが、あいつが近づいた場合は違う。……その先に待ってる結末、お前には受け止めきれないかもしれない」

小林絵里は唇をきゅっと結び、何も言わなかった。

誰が自分に優しくて、誰がそうじゃないか。それくらいは分かる。

坂田和也の言葉だけで、高川寒彦の思惑を疑うはずがない。

それに、わたしには何もない。高川寒彦が狙うものなんて、どこにも――。

小林絵里は彼を押しのけた...

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