第563章

小林絵里は、思わず彼の言葉に吹き出しそうになった。

けれど今は病室の空気が重い。自分の立場もやけに居心地が悪く、ここで笑ってしまえば格好の標的になるのは目に見えている。

小林絵里は笑いを喉の奥に押し込め、そっと視線を落とした。

坂田和也はそれを感じ取ったのか、ちらりと彼女を見る。瞳の端に残った笑みを見つけた瞬間、最悪だった気分がほんの少しだけ軽くなった。

……ふっ。

こいつらと渡り合うのも、悪いことばかりじゃない。

少なくとも、彼女を笑わせられる。

それでいい。

坂田お婆さんは激しく咳き込みながら、震える指で坂田和也を指した。罵りたいのだろうが、今の彼女には言葉にする力さえ残...

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