第570章

店員は少しぽかんとしていた。

小林絵里は、少し離れたところにいる小嶋未沙へ目をやる。すると、小嶋未沙の隣には夏目夕子が座っていて――胸の奥に、うっすらとした確信が芽生えた。絵里はふいに手を伸ばし、坂田和也の手を握る。

坂田和也は驚いたように彼女を見た。その瞬間、瞳がぱっと明るくなる。すぐさま握り返して、しかも少し力まで込めてきた。まるで、絵里が突然手を引っ込めてしまうのを怖がるみたいに。

小林絵里は一瞬だけ表情を止め、眉をきゅっと寄せた。けれど手は離さず、視線を落としてフルーツを食べ続ける。

それを見た店員二人は顔を見合わせた。小嶋未沙たちには逆らえないし、坂田和也にはなおさら逆らえ...

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