第578章

夏目思乃は、小林絵里が急に様子を変えたのを見て、びくりと肩を震わせた。

「どうしたの?」

庄司玉輝は小林絵里を抱きしめたまま、胸の奥まで伝わってくる感情の揺れを受け止める。こんな目に遭えば、どんな女の子だって平静でいられるはずがない。玉輝の心も、きりきりと痛んだ。

「小林絵里、大丈夫。もう大丈夫だから……」

耳元でそっと囁き、少しでも安心させようとする。

だが次の瞬間、小林絵里は突然、坂田和也を突き放した。瞳の縁には涙が溜まったままなのに、その眼差しだけが燃えるように怒っている。

「わたしの仇を討つ? そんなこと、よく言えるよね。自分でおかしいと思わないの?」

坂田和也は眉を寄...

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