第581章

「慌てるな。すぐにわかる」

 坂田和也が、低く艶のある声で冷たく言い放つ。

 夏目夕子の胸を、不吉な予感がさらに締めつけた。彼女ははっと立ち上がり、「二人とも用事があるなら、わたしは先に失礼します」と言った。

 足早に出口へ向かった、そのときだった。

 真正面から、用心棒に連れられた男が5、6人、どっと入ってくる。

 男たちは誰も彼も薄汚れ、身なりもぐちゃぐちゃで、肌には正体の知れない疣のようなものまで浮いている。見ているだけで吐き気がするほどだ。

 用心棒が行く手を塞ぐ。

「夏目お嬢さま。まだ終わっておりません。お帰りにはなれません」

 夕子は男たちを見て、顔色を失った。

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