第585章

坂田和也は彼女の動きを見ながら、端整な顔にわずかな諦めにも似た色を浮かべた。客間には入らず、そのままリビングのソファに腰を下ろす。煙草を取り出して火をつけると、カチリ――ライターの音が静まり返った室内にやけに大きく響いた。

そのとき、携帯の着信音が鳴った。画面を確認すると、ボディガードからだ。

「坂田社長、夏目夕子は夏目家の人間に引き取られました」

「……ああ」

坂田和也は淡々と返しただけで、その件を深く気に留める様子もない。

今の彼の頭を埋め尽くしているのは、小林絵里にどうすれば許してもらえるのか、どうすれば受け入れてもらえるのか――それだけだった。

……

翌日。

夏目夕子...

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