第605章

小林絵里は胸の奥に息を詰めたまま、坂田和也という男の気分の変わりように腹が立って仕方なかった。

けれど、まだ用は片付いていない。ここで投げ出すわけにはいかない。

とくに今日は須藤奥さんと話してから、罪悪感と自責がいっそう重くのしかかっていた。自分さえいなければ、須藤奥さんはあんな目に遭わずに済んだはずだ。

小林絵里はゆっくり濁った息を吐き出して言った。

「坂田和也、なんでわたしと話したくないの? わたしの声、感じ悪い? じゃあ……もっと甘ったるくしたらいい?」

坂田和也「……」

眉間がきゅっと寄る。やはり松本桜とはこれ以上関わらせるべきじゃない。あいつに変なことを覚えさせられてい...

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