第606章

小林絵里は困ったように松本桜を見て、ぽつりと言った。「わたし、まだちゃんと生きていたいの」

松本桜はソファにぐったりともたれ、投げやりに吐き捨てる。「じゃあ、どうすんの? 振り切れないし、受け入れられないし」

――苦しい。とにかく苦しい。

小林絵里は少しだけ気持ちを落ち着かせ、寝室へ向かった。歩きながら、静かに言い聞かせるように口にする。「先のことは、その都度考える。とにかく、わたしの身近な人があの人に傷つけられるのだけは嫌」

須藤星皓が自分にどんな思惑を抱いていようと、それは向こうの勝手だ。止めることはできない。けれど、自分のことなら管理できる。距離を取ればいい。

シャワーを浴び...

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