第614章

小林絵里は坂田和也から視線を外し、机の上に置かれたパソコンへと落とした。

彼女はさっさと近づいて椅子に腰を下ろし、マウスを滑らせながら真剣に画面を追う。

表示されている参考画像は、国内における近代の邸宅建築の変遷だった。

海外の要素が取り入れられるようになった今、別荘のデザインには異国の空気をまとったものも多い。

だが坂田和也はそういう要素が好きではない。だからこそ、少しずつ調整するしかなかった。

小林絵りが集中している間に、坂田和也はすでに彼女の背後まで来ていた。ふいに身をかがめ、両手を机につき――彼女をその腕の中へ囲い込む。

「これ、悪くない」

視線はモニターに落ちたまま、...

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