第623章

小林絵里は、ふっと表情を止めた。――たしかに、そんなふうには考えていなかった。

坂田和也が人をつけて、陰で自分を守らせていた?

だから、あの二人は「守るため」に現れたのだ。

そう思うと、胸の奥が少しだけざわつく。複雑な気分だった。

松本桜が言う。

「でも絵里、たとえ守ってくれてるとしても、あの人にはあの人の目的があるでしょ」

小林絵りは眉をひそめた。

「ほんと、わけわかんない」

「何が?」

小林絵里は小さくため息を落とす。

「何がしたいのかが、わかんないの。わたしが大人しくそばにいるときだって機嫌がころころ変わるし、いないときのほうが、もっとひどくなる」

ふいに顔を上げ...

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