第634章

松本桜はその言葉を聞いた途端、ぽかんと固まった。古川修一の端正で、どこか人を食ったような顔を見ているうちに、思わずくすりと笑ってしまう。

「古川殿……坂田和也にでも“うつった”んですか? 自分の悪趣味を満たすためなら平気で人の気持ちを踏みにじる。なに? あなたたちの界隈って、そういうのが伝統なんですか」

古川修一の目つきが、すっと冷えた。彼は松本桜をぐいと引き寄せ、自分の正面に立たせる。

「松本桜。そんなにムキになるのは、俺のこと好きになりそうで怖いのか?」

「ありえない!」松本桜は反射的に言い返した。「わたしが、あなたを好きになるわけないでしょう」

古川修一の表情はさらに陰ったが...

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