第637章

「ええ、坂田夫人。この件、ご存じないんですか? みなさんも……?」

高橋雲の戸惑った声を聞き、江口寧々は問い返した。

高橋雲は言った。

「本当に知らなかったの。寧々、いったん落ち着いて。まずは私がきちんと確認するわ」

江口寧々の声色が一気に尖る。

「坂田夫人、事情もはっきりしないのに、うちと縁談の話を進めてたんですか? それって、あまりにも無責任じゃないですか。わたし、浮気相手扱いで叩かれたいんですか?」

高橋雲が慌てて宥める。

「寧々、決してそんなつもりじゃないの。あのとき和也が離婚届の書類を見せたのは事実よ。まさか偽物だなんて、誰が思うの……。安心して。この件は必ず、あなた...

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