第639章

小林絵里はこくりとうなずいた。

「うん。確かに、あれはひどいよね。坂田家の跡取りなんだから。言うことを聞かないなら――それって、跡取り失格ってことじゃない」

松本桜が眉をひそめる。

「絵里、それどういう意味?」

絵里はちらりと彼女を見て、さらりと言った。

「自業自得ってこと」

「ぷっ……」

松本桜は吹き出し、遠慮なく笑いながら何度も頷いた。

「ほんとそれ! あいつは自業自得!」

高川寒彦は落ち着いた手つきでリンゴの皮をむき、むき終えると絵里に差し出した。

絵里は受け取る。

「ありがとうございます」

寒彦はナイフを紙ナプキンで丁寧に拭き、脇に置くと、口元に不敵な笑みを浮...

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