第64章

坂田和也の表情は冷徹そのもので、その鋭い視線は前方の一点に釘付けになっていた。

「ブレーキが利かない」

小林絵里は驚愕に目を見開き、慌ててアシストグリップを強く握りしめた。

「そ、それじゃあ、どうすればいいんですか!?」

坂田和也は重い口を開いた。

「俺たち、本当にこのまま一緒に死ぬかもしれないな」

小林絵里の心臓は今にも口から飛び出しそうだった。だが、ふとこんな言葉が口をついて出た。

「もしそうなったら……夏目夕子さん、すごく悲しむんじゃないですか?」

坂田和也は横目で彼女をひと瞥した。

「こんな時に、なぜ他人のことを気にするんだ」

「前を見てくださいよ!」

小林絵里...

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