第641章

高川寒彦は淡々とした表情のまま、問いかけた。

「どうした?」

電話口から、小嶋未沙のすすり泣きが聞こえる。

「お父さんとお母さんが、わたしを縛りつけて古川家の人たちに会わせるの……政略結婚の話をするんだって。わたし、そんなの嫌! 古川修一なんて好きじゃない。結婚なんてしたくない……寒彦さん、連れて逃げて。お願い!」

高川寒彦は相変わらず気だるげな調子で言った。

「どうやって連れて行けって?」

未沙の泣き声がさらに強くなる。

「寒彦さん、どんな手を使ってでもいいから……連れて行って。お願い。わたし、古川修一に嫁ぎたくないの。好きじゃない!」

高川寒彦は視線を落とし、瞳の奥の感情...

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