第648章

「いいわ」

 小林絵里はうなずき、スマホを取り出して藤原景丞と連絡先を交換した。

 介護士は荷物をだいたいまとめ終えており、松本桜も退院手続きを済ませて戻ってきたところだった。

「藤原さんも来てたんですね」松本桜は彼の姿を見つけると、やわらかく微笑む。続けて言った。「よかったら、わたしたちと一緒に少し寄っていきませんか」

 藤原景丞は小林絵里に視線を向ける。

「俺も……いいのか?」

 小林絵里は笑って答えた。

「もちろんです。うちはいつでも歓迎しますよ」

 藤原景丞の口元が、さらに深くほどける。

「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらう」

 一行は病院を後にした。

 楓の苑に...

ログインして続きを読む