第654章

小林絵里は、彼の冷えた眉と目元を見つめたまま、しばらく言葉が追いつかなかった。

「……それ、どういう意味?」

坂田和也は薄い唇の端をわずかに吊り上げる。瞳の奥には、からかうような色まで宿っていた。

「おまえが俺を訴えたせいで、俺の破産は早まった。取締役会の信用も失って、俺はもうDKグループの社長じゃない。失業だ。だから――法律上の妻であるおまえが、俺に責任を取れ」

小林絵りの目が、ばっと見開かれる。信じられない、という顔で彼を見た。

……今、なんて?

彼がずっと口にしていた「後悔するなよ」の“結果”って、つまり――彼が負けたら、彼女が面倒を見るってことなの?

なんだそれ。強盗み...

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