第658章

坂田和也は両手をポケットに突っ込み、ひどく気だるげに身を翻して主寝室を出ていった。まるで、さっきあんなことをしたのが自分じゃないみたいな顔で。

松本桜は腹立たしげに地団太を踏む。

「恥知らずにもほどがあるでしょ!」

「……」

小林絵里は一瞬黙り込み、どうしようもないといったふうに息を吐いた。

「桜、戻って休んで」

松本桜も何と言えばいいのかわからず、結局うなずくしかなかった。

ベッドに横になった小林絵里は、これから先をどうやって過ごすべきか考え続けた。

楓の苑を出る?

別の場所へ行く?

けれど坂田和也の性格なら、きっとまた追いかけてくる。

それに、あの態度のどこが許しを...

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