第667章

坂田和也は電話を受けた瞬間、顔から血の気が引いた。視線を松本幸雄に向け、厳しい声音で言い放つ。

「今すぐ庄司玉輝に小林絵里の現在地を割り出させろ。それから人員を集めろ」

だが松本幸雄は、どこか言い淀む。

「しかし坂田社長、株主総会がもう始まります。このまま向かわなければ……」

「行け!」

坂田和也の表情は、切迫そのものだった。

彼は坂田グループ本社ビルの真下にいた。踵を返して車に乗り込み、迷いなくある方向へと走らせる。

――昔の場所。

昔の場所だ。

脳裏に、抑え込んでいた痛みがずるりと蘇る。かつて彼は坂田南とともに誘拐され、廃工場に閉じ込められた。

五日間。水も食糧も与え...

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