第668章

そのとき、着信音が鳴った。坂田和也は片手を伸ばし、Bluetoothイヤホンを軽くタップする。

松本幸雄が告げた。

「坂田社長、奥様の位置、割り出せました。城西の林場近く――廃工場の中です」

坂田和也の端正な顔が、限界まで強張る。血の色を宿した双眸で前方を射抜き、冷えた声で言い放った。

「株主総会はお前が出ろ。余計なことはしなくていい。あの年寄りどもを落ち着かせておけ」

「……承知しました」

胃がきりきりする。圧が重すぎる。

松本幸雄は一拍ためらい、続けた。

「それと、庄司玉輝の調べでは、高川寒彦も人を連れて向かっています」

「わかった」

坂田和也はそれだけ言って、通話を...

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