第682章

小林絵里が期待に満ちたまなざしを向けるなか、坂田和也は離婚届の書類を手に取り、そのままびりびりと引き裂いた。

 小林絵里の顔には、ひと目でわかる落胆。そこに、いくらかの惜しさまで滲む。

「これ、コピーするのけっこうお金かかるんですけど」

 彼女は露骨に不満そうな目で彼を見た。

「サインしたくないなら、返してくれればよかったのに」

 坂田和也「……」

 無表情のまま見返すと、絵里はバッグからもう一枚、さらりと離婚届を取り出した。

「サイン、します?」

 澄んだ杏色の瞳が、まっすぐ彼を捉える。

 坂田和也は口元をひくりとさせた。

「こういう書類、何枚用意してる」

「そんなに...

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