第691章

「南さん、Y市に一日長くいれば、そのぶん露見する危険も増えますよ」

 南は鼻で笑うように言った。

「心配するな。分はわきまえてる。それに……ゲームはまだ始まったばかりだ。飽きるまで遊んでから帰る」

 そう言い切ると、彼は通話を一方的に切った。

 夜の闇はいっそう濃くなる。南の影は黒い路地へと溶け込み、ほどなくして跡形もなく消えた。

 ……

 楓の苑に戻ると、二人はシャワーを浴び、シアタールームで映画を流しながらソファに丸くなった。

 松本桜はフルーツジュースを両手で抱え、ちゅうっと吸ってから言う。

「絵里ってさ。南の正体、気にならないの? あの人、毎回あんたのいるところに現れ...

ログインして続きを読む