第692章

坂田和也は冷ややかに視線を引き、「やることやって戻れ」と言い捨てた。

松本幸雄は一拍置き、「坂田社長。本家から連絡が入りました。大奥様が、一度お目にかかりたいと」と告げる。

坂田和也は表情一つ変えずに、「ああ」とだけ返した。

会うとも会わないとも言わない。

松本幸雄は言葉を選びながら続ける。「坂田社長。大奥様がこれまで何をなさったにせよ、あの方もご高齢ですし、お体も昔ほどでは……ただ一度お会いしたいだけなら、いっそ——」

坂田和也がちらりと睨む。「お前、そんなに熱心なら給料でも上げてやろうか?」

松本幸雄はきょとんとしたあと、気まずそうに笑った。「いえ、そこまで面倒は……年末のボ...

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