第694章

  そう話しているうちに、坂田お婆さんの顔にふっと笑みが浮かんだ。まるで、かつての光景がもう一度目の前に広がったかのように。

  坂田和也は淡々とした表情のまま言う。

「俺を呼んだのは、昔話をするためか?」

  坂田お婆さんはあらためて彼を見つめた。

「カズ。いま坂田家は、あなたひとりでしょう。わたしに他の望みはないの。ただ、坂田家を守ってほしいのよ。あなたとお父さんは……結局、血の繋がった親子でしょう。あの人が昔、間違ったことをしたとしても、いま坂田グループはあなたの手の中にある。どうか、あの人を追い詰めて息の根を止めるような真似だけは……やめてくれないかしら」

  ――なるほど...

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