第70章

彼女はただ、坂田和也をほんの少し懲らしめてやりたかっただけなのに!

「馬鹿者が!」

江口当主は険しい顔つきで、江口寧々を指差した。

「お前はしばらく家で大人しくしていなさい。外出は一切禁ずる!」

そう言い捨てると、そそくさと身を翻して書斎へと向かった。

……

ホテルに戻ると、小林絵里は荷物の整理を始めた。

もっとも、荷物といっても大した量ではない。すべてここに来てから買い揃えたものばかりだ。

小さなバッグを買い、そこにすべての物を詰め込んだ。部屋を出ようとしたちょうどその時、ドアが開き、一人の中年男が入ってくるのが見えた。

その後ろには庄司一火が続いており、彼はこちらを冷た...

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