第703章

小林絵里は眉をひそめた。ここまで言ってもなお、日野安月は帰ると言い張る。家が――それほどまでに怖いのだろうか。

「じゃあ、わたしも一緒に帰る」

少し考え込んでから、絵里はそう口にした。

日野安月の両親に事情を説明しなければならない。安月はいま、何もできない。腕が許さないのだ。

「だめです!」

安月は即座に首を横に振った。顔から血の気が引き、怯えがいっそう濃くなる。

「絵里姉さん、ぶつかったのはわたしです。腕を骨折したのも、絵里姉さんのせいじゃありません。このこと、家には絶対に知られちゃだめです。知られたら……知られたら……」

言いづらそうに唇を震わせ、それでも絞り出すように言っ...

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