第709章

坂田和也は目も開けないまま、淡々と言い放った。

「車なんていくらでもある。どれに乗るかは俺が決める」

小林絵里「……」

彼女は、それ以上何も言わなかった。

ドアが閉まり、車が走り出す。療養院を背に、まっすぐ離れていった。

そのとき坂田和也のスマホが鳴った。取り出して画面を見る。古川修一からだ。

「……何の用だ」

通話を繋いでも、声は冷たい。

『何だよその態度。俺が付き添わなかったから、そんなに不機嫌か?』

「消えろ」

さらに冷えた声で吐き捨て、切ろうとする。

『待てって!』古川修一が慌てて引き留めた。『藤原千惠の素性、調べてみたんだ。あいつが誰だと思う?』

坂田和也は...

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