第718章

小林絵里は目をわずかに見開き、信じられないという顔で彼を見つめた。

まさか――こんなことを言うなんて。

「そんな目で見るな」

坂田和也は彼女の胸の内を見透かしたみたいに、薄い唇にかすかな弧を刻んだ。

「昔の俺は、お前の匂いが好きで、身体が好きで、そばにいてくれるのが好きだった。お前が嫌がっていようが、隣にいさえすれば俺は満たされた。だからお前の気持ちなんて考えもしなかったし、望むかどうかも聞かず、力ずくで引き留めた」

「もちろん今も根っこは同じだ。でもな、やり方を変えれば、お前を引き留められるかもしれない。今にも崩れそうなこの結婚だって、立て直せるかもしれないだろ」

坂田和也はそ...

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