第719章

ほかの連中は誰もいない。どこで何をしているのかもわからない。

小林絵里は訝しげに、オフィスのほうへちらりと視線を投げた。この時間なら、庄司玉輝がいるはずだ。

「うーん……」

近づこうとした、その瞬間。中からもうひとつ声が漏れ、絵里の表情がぴたりと固まる。足を引き、彼女はそのまま踵を返して立ち去った。

オフィスの中。

庄司玉輝は須藤星皓のネクタイを掴み、眉間に皺を寄せる彼を覗き込む。唇をつり上げ、からかうように言った。

「須藤、どうしたの? 昼の酒、飲みすぎた? わたしが手伝ってあげようか?」

媚びた眼差し。しなやかな身体が、わざとらしく須藤星皓にふわりと触れる。

その途端、彼...

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