第723章

小林絵里はメニューを手に取り、さっと目を走らせて眉をわずかに上げた。

「高くない? 本当に奢るの?」

松本桜は太っ腹に手を振る。

「好きに頼んで。これくらい、ビビらないって!」

小林絵里はくすりと笑い、だからといって食べもしないものを見栄で頼むようなことはしなかった。

店員を呼んでメニューを渡し、襖をすっと閉め直す。するとその瞬間、廊下を何人かが通り過ぎた。

ふと交わった視線に、小林絵里は言葉を失う。

坂田和也と古川修一、それに新谷逢弥。

――偶然、なの?

襖がきっちり閉まり、視線は遮られた。

松本桜は新しく見つけた仕事の話を楽しげにまくし立て、未来への期待で頬を輝かせて...

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