第725章

「小林絵里、法律だって人にやり直す機会をくれるのに、君はくれないのか。法律より横暴じゃないか?」

坂田和也は彼女を見た。薄暗い車内に街灯の光が何度も差し込むのに、彼の黒い瞳の奥はまるで照らされない。

小林絵里は唇をきゅっと結び、言った。

「でも、あなたはわたしを悲しませました。わたし、心が狭いんです。傷つくことは、もう二度と触れたくない」

その瞬間、車内はしんと静まり返った。

ほんの一瞬、坂田和也は過去に戻って自分の頬を何度も殴り飛ばしたくなった。どうしてあんなに、余計なことばかり言ったのか。

彼は目を閉じた……。

時間は巻き戻らない。

今さら何を言っても、もう意味はない。

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