第727章

「小林絵里。辞めるっていうのはわかってる。でも、まだ辞めてない。今この職場にいる以上、君の仕事は君がやり切るべきだ。ここは俺ひとりのスタジオじゃない」

 小林絵里はまつげを小さく震わせ、すぐに言った。

「はい……わかりました」

 庄司玉輝とは私生活ではそれなりに親しい。けれどスタジオにいるときは、あくまで雇い主と社員だ。

 勢いで退職を切り出したのに、庄司玉輝が怒らなかったのは、これまでの情があったからだ。ここで彼女が何もせず、ただ辞める日を待つだけなら――それは庄司玉輝との友情をすり減らす行為になる。

 庄司玉輝は手を伸ばし、彼女の肩を軽く揉んだ。

「理解してくれて助かる。あり...

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