第737章

斉藤子玄がもう一度、門扉を開けた瞬間――さっきまで大勢いたはずの護衛たちが、今は全員、地面に転がっていた。

 その真ん中に立っているのは男が二人だけ。二人とも心底つまらなそうな顔で言い放つ。

「……こんなもんか?」

 小林絵里もその光景を見て、思わず目を見張った。

 どこにでもいそうな、ありふれた顔立ち。人混みに紛れたら二度と見つからないタイプだ。服装も地味で、纏っている空気も拍子抜けするほど平凡――なのに、倒れている人数だけが異様だった。

 二人は小林絵里を見るなり、軽く頭を下げる。

「奥様」

 小林絵里は唇をきゅっと結んだ。

「……あなたたち、誰?」

 黒いフード付きパ...

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