第747章

坂田和也は身を屈めて彼女を覗き込んだ。距離は息が触れるほど近い。冷えた表情の小さな顔を見て、彼は口の端をわずかに引き上げ、笑う。

「小林絵里、ベッドから降りた途端に俺を放り出す気か?」

小林絵里は眉を寄せた。

「そんなわけないでしょう」

「じゃあ、キスひとつもダメなのはなんでだ?」

「……」

絵里は彼を押しのけ、立ち上がる。

「坂田和也。私たちのこれは取引にすぎません。余計なものは混ぜないで。あなたにも私にも、得はないです」

過剰なほど冷静なその顔を、坂田は眺めて笑った。

「でも俺は得だと思う。かなりな」

小林絵里は畳みかける。

「私が言ったこと、やるの? やらないの?...

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