第749章

坂田和也は彼女をきつく抱きしめたまま、沈み込んだ気配が痛いほど伝わってくるのを感じていた。

「会えるさ。もし相手が君をがっかりさせるなら……そんな連中、捨てればいい」

低く、囁くように言う。

小林絵里はそっと目を閉じた。しばらくしてから、ようやく口を開く。

「……放して。少し、歩きたいの」

坂田和也は腕をほどいた。彼女の表情から荒れた波が引いているのを見て、胸の奥で小さく息をつく。

安町は広くない。歩けばすぐに町外れへ出る。先にはだだっ広い原野が広がり、小林絵里は道端に立ったまま、冷たい風に身を晒していた。

坂田和也は少し離れた場所で彼女を見守っていた。そのとき、携帯の着信音が...

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