第772章

小林絵里は、ふと表情を止めた。

坂田和也が立ち上がり、「朝飯、少し作ったんだ。他にも何か食べるか?」と言う。

気が利きすぎている。

絵里はそのままダイニングへ入った。テーブルの上には、肉まんと粥、それに小皿の漬物が二品。

……坂田和也が朝っぱらから肉まんを包む?

そんな光景、どうしても想像できない。

「いらない」

それだけ言って、これで十分だという顔をした。

坂田和也は彼女の隣に腰を下ろし、同じように箸を動かし始めた。

……

食事を終えて家を出ようとしたとき、玄関先――壁際の隅に、昨日までなかったものが目に入った。視線を上げると、監視カメラ。

絵里の視線に気づいた坂田和...

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