第778章

「つらい……熱い……」

 背後から小林絵里の掠れた呟きが聞こえた。高川寒彦が振り返ると、彼女はソファの上で落ち着きなく身をよじらせている。雪のように白い肌は薄桃色に染まり、みずみずしい桃のように艶めいて見えた。

 高川寒彦は歩み寄り、指先で彼女の頬を軽く叩く。

「小林絵里、起きろ。小林絵里?」

 だが絵里はそれを機に彼の手を掴み、そのまま自分の頬へ押し当てた。熱を逃がすように、縋るように。

 それでも足りないのか、彼女は掴んだまま、手を下へと導こうとする。

 高川寒彦の息が詰まった。反射的に手を引き抜く。

(薬を盛られた……!)

 意識がはっきりしていない。身体の本能だけで動...

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