第779章

「小林絵里?」

 高川寒彦が彼女の顔を覗き込むと、意識がまた遠のいていくのがわかった。

 ――薬が、また回ってきた。

 寒彦は彼女を抱き上げ、バスルームへ向かう。

 その瞬間、廊下のほうから物音がした。

 寒彦の表情がすっと硬くなる。来るのが早すぎる……。

 反応する間もなく、部屋のドアが勢いよく開いた。立っていたのは高川家、小嶋家、坂田家の人間たちだった。

「ちょっと……なにしてるの……?」

 先頭にいた小嶋未沙は、光景を目にした途端に目を潤ませ、震える指で二人を指した。声まで揺れている。

「寒彦さん、どうしてわたしにこんなことするんですか? 今日は、わたしたちの結婚式な...

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