第780章

柔らかなマットレスがふるりと震えた。坂田和也の息はやけに重く、喉の奥で押し殺した声がさらに低くなる。

「小林絵里。目が覚めたら……しらを切るなよ」

小林絵里は彼の言葉などまるで耳に入っていない。焦点の合わないまま、むやみに唇を求めてくる。

坂田和也の声は掠れて、くぐもった。

「返事しないなら、了承したってことにする」

一夜、堕ちた。

翌日。

小林絵里は目を開けた瞬間、見知らぬ天井に息を呑み、びくりと上体を起こした。

掛け布団が肩からするりと滑り落ち、胸元にひやりとした空気が触れる。視線を落とした途端、顔色がさっと真っ青になった。

昨夜の記憶は――高川寒彦に「薬を盛られた」と...

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