第787章

小林絵里は、彼の声に混じった揶揄を聞き取ると、ぐっとこらえ、いっそう冷えた声で言った。

「来ないなら、それでいい」

「行く。絶対行く。お前が誘うなら、たとえ今俺が飛行機の中でも機長に命令して引き返させて、お前と飯を食う」

坂田和也が即答する。媚びるほどの勢いだ。

小林絵りの腕にぶわっと鳥肌が立った。

「そういうの、やめて」

それだけ言って、ぶつりと通話を切る。

……ふっ。

坂田和也は小さく笑い、切れた画面を見下ろしたまま、閉まりかけた機体のドアへ視線を流した。

「この便、キャンセルだ」

客室乗務員はぽかんとする。

前の席にいた松本幸雄が慌てて振り返った。

「坂田社長!...

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