第798章

坂田和也の顔色は、見ているだけで背筋が冷えるほどだった。氷のように冷えきった表情。黒い瞳には、かすかな狠ささえ滲んでいる。たとえ病床にいるのが祖母でも、容赦はない。

 小林絵里はそれを見て、慌てて言った。

「違います。お婆さんはわたしをいじめたりしてません」

 坂田お婆さんも大きくうなずく。

「そうそう。いじめてないよ。この子が勝手に泣いただけ。わたしはいじめてない」

「……」

 絵里は一瞬、泣くのか笑うのか分からなくなった。

 手の甲で涙を拭い、静かに言う。

「今のお婆さんを見たら……昔のことを、ちょっと思い出しただけです」

 それを聞いて、坂田和也の険がわずかにほどけた...

ログインして続きを読む