第799章

坂田和也は介護士に目を向けた。

「しっかり看てくれ。何かあったら俺に電話しろ。もう小林絵里を煩わせるな」

介護士は小さくうなずく。

「はい」

 ……

坂田和也が外へ出ると、小林絵里のほっそりした背中はもう玄関口まで行っていた。マフラーをきゅっと寄せ、ひどく寒がっているみたいに肩をすくめながら、そのまま車のドアを開けて乗り込む。

まず暖房を入れ、車内が温まってからエンジンをかけた。

そのとき、助手席側の窓がコンコンと叩かれた。

絵里が振り向くと、坂田和也が立っていた。整った顔立ちなのに、どこか鋭くて冷たい。深い目がこちらを射抜く。

絵里はロックを解除した。

坂田和也がドアを...

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