第803章

日野安月がたずねた。「それだと……迷惑、かけちゃう?」

小林絵里は首を横に振る。「かけないよ」

坂田和也が言う。「Y市でプライバシーと警備が一番しっかりしてる病院なら、坂田グループのとこだ。こっちに移る気は?」

小林絵りが彼を見る。次の瞬間、意図の読めない漆黒の瞳と目が合った。

……やっぱり。彼が損をすることだけは、絶対にしない。

よく考えれば、筋は通っている。

日野安月を坂田グループの病院に移せば、あの子の両親は居場所を突き止められない。そうすれば、安月は安心して治療に専念できる。

小林絵里は唇をきゅっと結び、うなずいた。「……いいよ」

坂田和也が眉を上げる。「いい?」

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